中長距離研究 -LongDistance Running Science-



郡茂史選手

私はここで、体型など身体の違いを無くした上での競技能力向上の結果を得たくて、
一人の選手の約1年間の跳躍をデジタルビデオに記録し、まとめてきました。


棒高跳びの動きは
助走
つっこみ・踏切局面
スウィング・タック局面
倒立・逆上がり局面
クリアランス局面
で、成り立っている



1,助走の研究

    助走速度と跳躍結果の関係
cm
秒速m 300 310 320 330 340 350 360 370 380 390 400
6.80
6.81 ×
6.82 ×
6.88 × ×
6.92
6.95 ××
7.06 ×
7.08 ×
7.09 ×
7.11 ×
7.16 ×
8.09 ×
8.10 ××
8.20 × ×
8.24 ×
8.25
8.27 ×
8.28 ×
8.29 ××
8.30 × ×
8.31
8.33
8.34
8.37
8.40 ×
8.42 ××
8.43
8.44 ×
8.46
8.48
8.50 ×
8.52 ×

これは、この選手の1年間の試合(44跳躍)をデジタルビデオで撮影し、助走にかかった時間と助走距離から助走の平均速度を出し、跳躍結果との関係をグラフにしたものである.
上の表を見て分かるように、右の方になる(高さが高くなる)につれて成功したとき(赤色)が下の方に集まってきている.
これは跳躍高が上回るものに成功したときは、以前の成功したときより助走が早くなっていることが分かる.
と言うことは、この選手、4m以上の跳躍をしようとすれば助走を速めることによって成功するかもしれない.
もちろん助走だけでなく、もっと他にも能力向上には要素があるのだろうと思うが、この、助走速度も跳躍結果と関係しているだろう.


2,つっこみ・踏切局面での研究

     棒高跳びの踏切の研究

棒高跳びの踏切は、水平方向へ(高く)踏み切るのがよいとされている.
ここで私が研究で注目したのが跳躍角である.
跳躍角=選手が踏み切ったときの地面と平行な面を基準にした重心のその後の動いていった角度


   高く=ポールの曲がる軌道が高く保て、高いグリップと高い抜きにつながるので
    
跳躍角が低いと頭上の空間が狭くなり、ぶら下がりに耐えられず、腰が前に流れてしまう.
               

この選手はほとんどの跳躍で肘が曲がらないほどまで、練習で直した.


また、Qの距離(1枚目の写真)が短いほど、ポールの曲がりが大きくなる→反発が強く体を上昇させる
        ↓
    短くするには突っ込みを遅れないようにすること.



 ポールの曲がりと跳躍結果の関係

ポールの曲がりについて、跳躍結果がよかったものと悪かったものをデジタルビデオに録画し、0.2秒ごとのポールの軌跡を調べた.
すると、跳躍結果がよかったものについてはポールがよくしなって(図1)、失敗したものはポールが流れていた(図2).

↑図1

↑図2

これは単に選手がポールがしなるように曲げているのではなく、重心の違い、体の持ち込み方の違いでポールがこのように変化している.
協力:郡茂史 ありがとうございました. 


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